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『クライマーズハイ』

『クライマーズ』を観てきたわけですが、驚きました。

これはものすごいド傑作ではないですか。

とりあえず『接吻』と『アフタースクール』はブチ抜いて、
今年の邦画ではナンバーワン。
個人的な好き嫌いもあるはと思いますが、
『クライマーズハイ』はモロにわたしの好みど真ん中で、
ただただその迫力に圧倒されました。

冒頭、例の日航機の墜落事故が発生して、
舞台となる北関東新聞社からも初日に記者を2名送り込むんですけど、
そこで目撃することになる現場斜面の再現度がすごいんですよ。

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べつに地獄絵図をリアルに見せているわけではなくて、
(遺族感情への配慮もあるでしょうし)
現場の凄惨さは、ほとんど映像としては描いていないのです。
墜落した遺体なんかほとんど描写されません。

でも、一歩足を踏みはずせば滑り落ちそうな急斜面のロケーション、
痛々しくめくれ上がって散乱する機体の破片などの小道具、
頭上でバリバリと轟音を立てるヘリと、プ〜ンとうなるハエの羽音、
火災のあとの煙が周囲に立ちこめるエフェクト、
茫然と立ちすくむ消防団、記者、自衛官ら俳優陣の芝居。
それらの要素が渾然一体となって、
あの墜落現場の「絶望感」がものすごい迫力で伝わってくるんです。
これは本当に見事だった。

で、いきなりそういうものを突きつけてくるもんだから、
この方向で押していく映画なのかなーと思ったら、
事故はこの映画のごく一部でしかなくて、事故そのものを描くというよりも、
この事故をどう新聞紙面で採り上げていくか、
地元新聞記者たちの戦いを描くことが主題の物語だったんですね。
(原作読んでなかったので、観るまでわからなかった)
かといって、群像劇を描くために事故を利用しているような感じも
まったくしないので、そういう点でも印象がよかった。

とにかく、俳優陣が皆芸達者揃いで素晴らしかった。
日本中の巧い役者だけを揃えたんじゃないか、という感じです。

新聞社社長の山崎努の脂っこさと骨っぽさが同居した感じ。
主人公の堤真一に対立する上司役の遠藤憲一の酷薄さと、
やはり対立する販売部部長の皆川猿時のねちっこいヤな奴感。
スクリーン掻きむしりたくなるほどよかったです。

とくに素晴らしかったのは、墜落1日目の現場に行って
あまりの衝撃で精神に異常をきたす神沢記者役の滝藤堅一。
この人が、全権(臨時編集長)の堤真一に詰め寄るシーンなんて最高でした。

わたしはどんな映画でも原作と映画とは切り離して考えているんですが、
これは原作もちゃんと読もう、と思わせてくれる映画でした。

いやー、自分が原田眞人の映画を絶賛する日がくるとはなー。
(どちらかといえば嫌いな監督だった)

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